大人の扁桃腺摘出手術(口蓋扁桃摘出術)において、患者が最も直面する過酷な現実が術後の激痛です。子どもの手術に比べて大人の手術は痛みが激しく、長引きやすい特徴があります。これは、長年の慢性扁桃炎によって扁桃組織とその周囲の筋肉が癒着しており、切除範囲が深くなるためです。
痛みのピークは手術当日直後だけでなく、術後3日目から7日目頃にかけてやってきます。切除部分に張った白いかさぶた(偽膜)が剥がれ始め、神経の末端が剥き出しになるこの時期は、喉だけでなく耳の奥まで突き刺すような「放散痛」に襲われるケースが珍しくありません。唾液を飲み込むことすら激痛を伴うため、睡眠不足や精神的なストレスを抱える患者が多発します。
術後の食事スケジュールも過酷です。術後翌日からスタートするのは重湯や具なしスープなどの流動食。そこから数日かけてペースト状の嚥下食、お粥へと段階を踏みますが、喉に染みる刺激や物理的な痛みのために「点滴だけが頼りだった」と振り返る体験者も少なくありません。通常の常食を問題なく食べられるようになるまでには、退院後も含めて最低2〜3週間の辛抱が求められます。