ネット上の質問サイトや国語表現の相談コーナーで頻出するのが、「肉体的な怪我がないのに、精神的なストレスやメンタルの落ち込みだけで満身創痍と表現して良いのか」という疑問です。
結論から申し上げると、精神的な疲弊やダメージに対して「満身創痍」を用いることは全く問題ありません。大手ポータルサイトの知恵袋や国語解説データでも、現代における「満身創痍」の定義には「心身ともにボロボロな状態」と明記されており、比喩表現としての使用は日本語学上も完全に定着しています。
ただし、ここで混同されやすいのが満身創痍と疲労困憊の違いです。両者は似た状況で使われますが、内包するニュアンスには明確な線引きが存在します。
「疲労困憊(ひろうこんぱい)」は、激しい運動や連日の残業によって体力・エネルギーが完全に枯渇し、電池切れで動けなくなった状態を指します。ここには外部からの「攻撃」や「傷」という概念は含まれません。
対して「満身創痍」は、度重なる理不尽なトラブル、周囲からのバッシング、予期せぬアクシデントなど、「外圧によって無数のダメージを受け、心身がズタズタに傷ついている状態」を指します。単に疲れて眠い状態ではなく、「心に負った無数の生傷の痛み」を伴っているかどうかが、使い分けの決定的な基準となります。