この「残念な猫」というジャンルを決定づけた立役者が、猫写真家の沖昌之氏です。ベストセラーとなった『必死すぎるネコ』シリーズに続き、2019年に刊行された写真集『残念すぎるネコ』(辰巳出版)は、従来の「可愛い猫写真」の概念を根底から覆しました。
沖氏がメディアの取材や自著の手記で明かしている撮影秘話には、過酷な現場での徹底した観察眼が刻まれています。沖氏は猫たちを驚かせたり無理にポーズを取らせたりすることは一切せず、何時間も地面に這いつくばり、彼らが日常の中でふと見せる「隙」を待ち続けるといいます。インタビューにおいて沖氏は「猫の格好悪さや情けなさの中にこそ、飾らない野生の魅力と愛嬌が凝縮されている」と語っており、被写体への深い敬意と愛情があるからこそ、決定的瞬間を切り取ることができるのです。
写真集のページをめくると、あくびの途中で般若のような顔になった瞬間や、草むらから顔を出したら頭に葉っぱが乗りすぎて困惑している姿など、思わずクスリと笑ってしまうカットが連続します。読者からは「猫写真集の最高峰」「疲れた夜に開くと涙が出るほど笑える」と極めて高い評判とレビューが寄せられています。