孵化直後から体長数センチ程度の幼体期にかけては、カナヘビの赤ちゃん 性別見分け方を求める声が後を絶ちません。しかし、結論から申し上げれば、カナヘビの幼体の見分け方において肉眼による100%確実な性別判定は、百戦錬磨の爬虫類専門医であっても極めて困難です。
孵化したばかりのカナヘビ(ベビー)は全長わずか50〜60ミリ、尻尾を除いた胴体部分は25ミリ前後にすぎません。この段階では生殖器官が未成熟であり、オスであってもヘミペニスが発達していないため、尻尾の付け根に膨らみが生じません。頭部の骨格にも性差が表れておらず、腹面の色合いも幼体特有の保護色である黒褐色や一様な白さを見せるにとどまります。
ヘビの幼体で行われるようなゾンデ(プローブ)を用いた総排泄孔への探針検査や、指先で生殖器を押し出す「ポッピング」と呼ばれる手法をカナヘビの幼体に適用するのは言語道断です。カナヘビの骨格や内臓は極めて脆弱であり、微小な圧迫でもカナヘビの総排泄孔周辺の筋組織断裂や、ヘミペニスの整復不能な逸脱(脱腸・生殖器脱)、あるいは下半身不随を招き、即座に死に至るケースが多発しています。
性差が外見に滲み出始めるのは、十分な給餌と紫外線照射を受け、全長14〜16センチ程度まで育ったサブアダルト(亜成体)以降です。越冬を経験した翌春、生後約8〜10ヶ月を迎えた段階で初めて、オスの尾根に明らかな膨らみが形成されます。幼体を育てている段階では性別の特定を急がず、骨格形成に必要なカルシウム給餌と温湿度管理に全力を注ぐ姿勢が求められます。