鏡を間近で見たときに、上唇や下唇の表面に1ミリ以下の白〜黄白色のブツブツが無数に散らばっているのを発見し、「性病ではないか」「皮膚の異常繁殖ではないか」と強い恐怖を抱いてクリニックへ駆け込む人が少なくありません。この現象の正体の多くは「フォアダイス(Fordyce spots)」と呼ばれる生理的変化です。
本来、皮脂を分泌する皮脂腺は毛根に付随して存在しますが、胎生期の口唇形成プロセスにおいて、皮脂腺が毛のない唇粘膜に迷入して発生することがあります。これを専門用語で「異所性皮脂腺」と呼び、フォアダイス状態の詳細まとめとして以下の医学的真実を押さえておく必要があります。
フォアダイスは病気や悪性腫瘍ではなく、成人の約60〜80%に見られる極めて普遍的な生理現象です。他人に感染する心配は一切なく、健康上の害もありません。思春期以降のホルモンバランスの変化に伴って皮脂腺が肥大化し、粘膜が薄い唇の表面に透けて見えることで自覚されるケースが目立ちます。
健康被害がないため医学的には放置が原則ですが、見た目の審美的な悩みを解消したい場合には、唇の皮脂腺増殖の治療と対処法として自由診療による炭酸ガス(CO2)レーザー蒸散術や電気凝固法が選択されることがあります。ただし、レーザー照射後に赤みや色素沈着のリスクが残るほか、唇の柔軟性が損なわれる恐れもあるため、専門医と慎重にリスクを擦り合わせることが欠かせません。