旅行コミュニティやSNSで定期的に話題となる「氏名を逆に書くと飛行機に乗れない」という噂ですが、国際線においては単なる都市伝説ではなく紛れもない事実です。毎年、羽田や成田、関西国際空港のチェックインカウンターでは、名前の順番が逆になっていることが原因で大混乱に陥る旅客が確認されています。
なぜ航空会社はこれほど厳格なのでしょうか。その理由は、国際民間航空機関(ICAO)が定める国際基準と各国の出入国管理システムにあります。航空券に印字される氏名データは、パスポートの下部に記載された「MRZ(機械読取領域)」のアルファベット順(SURNAME / GIVEN NAME)と一文字の狂いもなく完全一致していなければなりません。姓名が逆転していると、航空会社の予約システムと各国の保安・入国管理局の事前審査システム(APIS)の間で照合エラーが弾き出されてしまうのです。
大手航空会社(FSC)の地上職員の証言によると、軽微なスペルミスであればカウンター判断で氏名修正が認められる例外も稀にありますが、「姓と名の完全な逆転」は航空券の規約上「名義人変更」とみなされるケースが一般的です。航空券はテロ対策や不法入国防止の観点から他人への譲渡が固く禁じられているため、名義変更は原則として認められません。
格安航空会社(LCC)や一部の国際線正規割引運賃(PEX)では、一度発券したチケットの氏名修正を一切認めない約款が敷かれています。その結果、手持ちの予約をその場で全額キャンセル(払い戻し不可)した上で、出発当日の超高額な普通運賃(数十万円に跳ね上がることも珍しくない)で片道航空券を新規購入するか、旅行そのものを断念せざるを得ない事態に追い込まれます。