通信教育大手ベネッセの教育総合研究所が実施した各種調査や家庭の声を集約すると、小学校3〜4年生の段階で急激に「漢字嫌い」を発症する児童が増加する傾向が見て取れます。習う漢字の抽象度が増し、画数が増加する時期に、旧来型の過酷なドリル反復が課されることが主な原因です。
大手ネット掲示板やSNS上でも、「毎晩泣きながら漢字ノートを埋めさせている」「少しでもマス目からはみ出したり、はねが甘かったりすると学校の先生に真っ赤に直され、子どもの学習意欲が完全に削がれた」という保護者の切実な悲鳴が絶えません。都内の小学校教諭は取材に対し、次のように現場の葛藤を明かします。
「宿題として一律に『1文字10回』を課すのは、教員側にとっても評価が容易だからという側面があります。しかし、すでに覚えている子には無駄な苦行となり、苦手な子にとっては自己肯定感を破壊する作業になりかねません。本来は、書けない字だけを抽出して個別に練習させるべきなのです」
大人世代においても事態は深刻です。30代〜40代のビジネスパーソンを対象としたアンケートでは、約78%が「書類の手書き時に簡単な漢字が出てこずスマホで検索した経験がある」と回答しています。予測変換に依存しきった現代では、インプットはあるものの「手書きのアウトプット」が枯渇しており、大人こそ意図的な想起トレーニングが求められている現状が浮き彫りとなっています。