ベトナムの月餅売り場を訪れると、きつね色の焼き目が美しいタイプと、まるで雪のように真っ白なタイプの2種類が並んでいることに気づきます。これがベトナム月餅の二大巨頭である「bánh nướng(バイン・ヌオン)」と「bánh dẻo(バイン・ゼオ)」です。
bánh nướng(焼き月餅)は、小麦粉、糖蜜シロップ、落花生油で作った生地で餡を包み、卵黄液を塗って香ばしく焼き上げた王道スタイル。表面には緻密な花柄や吉祥模様が刻まれ、しっかりとした歯ごたえと芳醇な香ばしさが楽しめます。
一方のbánh dẻo(生月餅・求肥月餅)は、加熱調理済みの特殊なもち米粉(bột bánh dẻo)に砂糖シロップとポメロの花の香水水を練り込み、火を通さずに型押しして仕上げる伝統菓子です。日本の求肥や大福にも似たモチモチとした柔らかい食感と、華やかなアロマが口いっぱいに広がります。
近年は伝統的な配合にとどまらず、ドリアン餡、タロイモ(Khoai môn)、抹茶、チョコレート、さらには高級食材のツバメの巣やフカヒレを贅沢に使ったプレミアム仕様まで、種類の幅が年々広がっています。