一人のトップアスリートが未婚の母となる決断は、競技を取り巻く組織やスポンサー企業にも多大な衝撃を与えた。当時、彼女をサポートしていたトヨタ自動車をはじめとする大手企業や、日本スケート連盟は対応に追われることとなった。フィギュアスケート業界は保守的な側面も強く、競技生活と出産の再立に対して厳しい視線が注がれたことも否定できない。
実直な競技生活を期待するスポンサー関係者との話し合い、そして連盟内部での調整。そうした知られざる政治的な駆け引きの中で、安藤は自身の信念を貫き通した。企業側の支援体制の見直しやスケート界でのポジションの転換など、彼女が背負ったリスクは計り知れないものだった。