「木村多江がかつて貞子を演じていた」という噂は都市伝説の類ではなく、紛れもない事実である。彼女が出演したのは、1999年1月期にフジテレビ系列で木曜劇場枠として放送されたドラマ『リング〜最終章〜』、そして同年7月期に同枠で放送された続編『らせん』の2作品だ。
原作・鈴木光司のメガヒット小説をベースに、柳葉敏郎や長瀬智也、黒木瞳ら豪華キャストが集結した『リング〜最終章〜』は、平均視聴率19.9%を記録する社会現象となった。この物語の根幹を揺るがす元凶であり、呪いのビデオの主として登場したのが木村多江演じる山村貞子である。
映画版『リング』(1998年公開)では貞子の顔は長い黒髪に覆われ、人知を超えた異形の怪物として描かれていた。一方でドラマ版では、貞子がかつて持っていた人間性や悲劇的な生い立ち、そして怨念へと変貌していくドラマ性が重視されたため、表情の演技と視線の強さが求められる配役となっていた。木村多江はこの難役を2作連続で演じ抜き、作品のヒットを陰で支える決定的な役割を果たしたのである。