静寂と情熱が同居するこの街が一年で最も激しく燃え上がるのが、毎年10月に開催される八幡神社例大祭、通称「飯坂けんか祭り」だ。秋田の角館、兵庫の伊保と並び「日本三大けんか祭り」の一つに数えられるこの祭りは、まさに男たちの魂のぶつかり合いである。
夜の帳が下りると、威勢の良い太鼓の音が街中に響き渡る。神輿を納める祭礼の最高潮、境内になだれ込んだ大屋台同士が激しくぶつかり合う光景は圧巻の一言。木材が軋み、火花が散るかのような衝撃音と観客の歓声が夜空に交錯する。数百年受け継がれてきた町衆の気骨と絆を目の当たりにできる、圧倒的な体験だ。