「かすべ」とは、主に北海道や東北地方におけるガンギエイ(メガネカスベやマカスベ)の地方名です。一般的な食用魚と異なり、骨格がすべて軟骨で構成されているため、正しく調理すれば頭部や内臓を除くヒレ全体を骨ごと食べられるのが大きな特徴です。
日常会話で混同されがちなのが、居酒屋の定番おつまみである「エイヒレの乾物」との違いです。エイヒレ乾物は主にアカエイなどのヒレを乾燥・加工して炙り焼きにするものですが、北海道の市場に並ぶ「生かすべ」は、分厚い肉質と柔らかな軟骨層をそのまま生かして調理する生鮮食材を指します。
栄養面においても、現代の健康志向に合致した優れたスペックを誇ります。文部科学省の日本食品標準成分データや各種水産栄養分析によると、かすべは可食部100gあたり約80kcal前後と極めて低カロリーでありながら、良質なタンパク質を約17〜19g含有しています。脂質は1g未満と極めてヘルシーです。
特筆すべきは、軟骨周辺に凝縮された海洋性コラーゲンとコンドロイチン硫酸の含有量です。加熱することでゼラチン化したコラーゲンは消化吸収に優れ、関節の健康維持や肌の水分保持に寄与する成分として知られています。カルシウムとコラーゲンを同時に摂取できる点は、他の白身魚にはない大きな利点です。