絶望的な状況下で孤独と戦う主人公マーク・ワトニーを演じたのは、実力派俳優マット・デイモンだ。彼は単なる哀愁漂う被害者ではなく、どんな絶望に直面しても「科学で打ち勝つ」という強い意志を持つ人間味あふれるキャラクターを見事に演じきった。時に70年代のディスコミュージックに合わせて体を揺らし、軽妙な口調でログを残す姿は、観客に強烈な勇気と親近感を与える。
そして監督を務めたのは、『エイリアン』や『ブレードランナー』で映画史に不滅の足跡を刻んだ巨匠リドリー・スコットだ。暗く重厚なトーンを得意としてきた彼が、本作では一転して明るく希望に満ちたエンターテインメントへと昇華させた。20世紀フォックスが贈る超大作として、圧倒的な映像美とともに提示されたのは、過酷な宇宙空間で発揮される人間の底力と連帯の美しさだった。
孤立無援の主人公を助けるため、地球のスタッフや同僚の乗組員たちが国境や立場を超えて知恵を絞る姿も大きな見どころだ。一人で戦う男のドラマでありながら、本質的には人類全体の優しさと英知を描いた群像劇でもある。