この楽曲が生まれた2000年代初頭の音楽シーンは、ブリトニー・スピアーズやクリスティーナ・アギレラに代表される、完璧にプロデュースされたティーン・ポップ全盛期でした。きらびやかな衣装と計算されたダンスが主流だった時代に、弱冠17歳のアヴリル・ラヴィーンが放ったアルバム『レット・ゴー(Let Go)』は、業界の常識を根底から覆す異色の存在でした。
当時のインタビュー記録や音楽関係者の証言によると、レコード会社側は当初、彼女をカントリーや大衆受けするポップシンガーとして売り出そうと画策していました。しかしアヴリルは「他人が書いたお仕着せの曲なんて歌いたくない」と強固に反発。プロデュースチーム「ザ・マトリックス(The Matrix)」のローレン・クリスティらとスタジオに籠もり、自身のリアルな葛藤や憤りをぶつけ合って書き上げた最初のマスターピースが、まさに「コンプリケイテッド」でした。
飾らないタンクトップにダボダボのパンツ、首にはネクタイという彼女のトレードマークは、大人たちに押し付けられた虚飾に対する強烈なレジスタンス(抵抗)の証拠でした。アヴリル自身が自著や回想録で語っている通り、「ただ自分らしく、感じたままを叫びたかった」という初期衝動が、過剰な演出に食傷気味だった世界中の若者の心を鷲掴みにしたのです。