10代後半、映画『恋空』での日本アカデミー賞新人俳優賞受賞を皮切りに、トップスターへの階段を駆け上がると、環境は急激に変化した。上京し、一人暮らしを始め、俳優として自立していくプロセスの中で、親子の距離感にも変化が生じる。ストイックに役作りに没頭する彼と、生活面や将来の選択を心配する実家側との間で、時に意見の食い違いが生じるのは自然な成り行きでもあった。
20代半ば以降、主演舞台や難役への挑戦が続く中で、彼は「俳優としての自分」と「個人の自分」の切り分けに葛藤していたとされる。周囲の期待に応え続けようとする責任感の強さが、実家との関わり方や自身の生き方に対する悩みを深めさせた面は否定できない。家族を想うがゆえの遠慮と、自立した表現者としての主張。その狭間で揺れる葛藤は、多忙を極める日常の中で徐々に積み重なっていった。