迷惑撮影は「マナー違反」という言葉で片付けられるものではありません。明確な法律違反であり、科される法的制裁は極めて重い現実を知る必要があります。撮り鉄に関わる法律の罰則において、最も刑責が重いのが刑法第125条に規定される「往来危険罪」です。
往来危険罪は、鉄道や船舶の交通に危険を生じさせた場合に適用されます。線路内に大きな石や三脚などの障害物を置く行為はもちろん、列車が急停車せざるを得ない状況を生み出す立ち入り行為は、法定刑が「2年以上の有期懲役」と定められており、罰金刑の選択肢すらありません。初犯であっても公判請求され、刑務所への収監すら視野に入る重罪です。
また、民有地や駅構内の立ち入り制限エリアへの侵入には「建造物侵入罪」や「住居侵入罪」(刑法130条、3年以下の懲役または10万円以下の罰金)が成立します。田畑に入り込んで稲や野菜を踏み荒らす行為は「器物損壊罪」(刑法261条、3年以下の懲役または30万円以下の罰金、もしくは科料)に問われます。さらに、運転士や運行関係者の業務を妨害すれば「威力業務妨害罪」の対象です。
刑事罰にとどまらず、民事上の損害賠償請求も容赦なく発生します。新幹線や過密ダイヤの在来線で列車防護無線が発報され、数万人の足に乱れが生じた場合、振替輸送の費用や遅延払戻しなどに伴う数千万円単位の損害賠償が個人に請求されるリスクが存在します。