誰もが口ずさめる「おしえて」ですが、その成り立ちには当時のテレビアニメ界における革命的な試みが凝縮されていました。演出を手掛けた高畑勲、場面設定・画面構成の宮崎駿、キャラクターデザインの小田部羊一ら制作陣は、徹底したリアリズムを追求するためにスイス・マイエンフェルトへの現地取材を敢行しました。アニメーション制作における本格的な海外ロケハンは、当時の日本において前例のない挑戦でした。
音楽を担当した作曲家・渡辺岳夫と編曲家の松山祐士は、アルプスの雄大な空気感をスタジオのシンセサイザーだけで再現することを拒否しました。本物のアルプスを表現するためには、本物の空気と伝統楽器が不可欠であると判断したのです。こうして作られた楽曲は、単なるアニメの主題歌という枠組みを大きく超え、日本の音楽史に残るマスターピースへと結実しました。