家族社会学や心理療法の観点から『義母と娘のブルース』を紐解くと、本作がこれほどまでに長く愛された本質的な理由が見えてきます。従来の日本のホームドラマで描かれがちだった「血縁の絶対性」や、ときに親が子を束縛する「母娘の共依存関係」に対し、本作はまったく新しい家族のあり方を提示しました。
亜希子とみゆきの関係において極めて健全だったのは、「過干渉にならず、互いの個と意志を尊重する心理的バウンダリー(境界線)」が常に保たれていた点です。亜希子はビジネスの手法を用いて論理的にみゆきを育成しましたが、最終的な進路選択や人生の決断は常にみゆき本人の意志に委ねました。みゆきもまた、義母の生き方をリスペクトしながらも自立した一個の人間として成長していきました。
「血がつながっているから家族なのではなく、相手を想い、日々の時間を積み重ねる覚悟があるからこそ家族になる」。上白石萌歌が演じたみゆきの曇りのない笑顔は、現代社会における多様な家族の形に勇気と希望を与える象徴となったのです。