イノダコーヒ本店の真価は、モーニングタイムの終了とともに色褪せるものではありません。むしろランチから夕暮れ時にかけてのメニュー展開にこそ、洋食文化が早くから花開いた京都のハイカラな粋が色濃く残されています。
その筆頭が、多くの食通たちが「一度食べたら忘れられない」と絶賛する「ビーフカツサンド」です。厚みのある上質な牛フィレ肉を贅沢に使い、きめ細かな衣をまとわせてミディアムレアに揚げられたカツは、驚くほど柔らかくジューシー。そこに絡む特製ウスターソースの酸味と香ばしくトーストされたパンの食感が三位一体となり、軽食の域を遥かに超えた本格洋食の風格を漂わせています。
さらに、喫茶タイムの主役として君臨するのが、ショーケースを華やかに飾る「レモンパイ」です。たっぷりと盛られたメレンゲの口どけの良さと、レモンの爽快な酸味が効いたカスタードクリーム、そしてサクサクのパイ生地。重厚な深煎り珈琲「アラビアの真珠」や、コロンビア産豆を主体としたマイルドなブレンド「コロンビアのエメラルド」とのペアリングは至高の極みと言えます。
さらに店内環境として見逃せないのが、四季折々の表情を見せる中庭に面したテラス席の存在です。春の柔らかな日差し、初夏の青もみじ、秋の紅葉、そして冬の静謐な空気感――。小鳥のさえずりや風情ある池を眺めながら過ごす一杯の時間は、京町家の奥深さを肌で感じる至極のチルアウト空間となっています。