シンガポールの食文化の深みは、朝食の習慣やユニークな郷土料理にも色濃く表れています。
現地の朝を象徴するのが「カヤトースト」です。薄くスライスして炭火でカリカリに焼いたトーストに、ココナッツミルク、卵、砂糖、パンダンリーフで作られた甘い「カヤジャム」と冷たい有塩バターをサンド。これに半熟温泉卵2個と濃厚な練乳入りコーヒー「コピ(Kopi)」を合わせるのが王道セットです。半熟卵にダークソイソースとホワイトペッパーを垂らし、トーストを浸して食べる甘じょっぱい組み合わせは、一度ハマると抜け出せない中毒性があります。「ヤクン・カヤトースト(Ya Kun Kaya Toast)」や「トーストボックス(Toast Box)」が街中に点在しており、手軽に体験できます。
さらにディープな食体験を求めるなら、中国系移民の男性とマレー系女性の婚姻から生まれた「プラナカン料理(ニョニャ料理)」がおすすめです。数種類のハーブやスパイスを複雑に調合した料理で、代表格の「アヤム・ブア・クルア(黒い木の実を使った鶏肉の煮込み)」は、濃厚でほろ苦いコクが特徴的な唯一無二の味わいです。
また、強烈なビジュアルでネット上でも話題を集めるのが「フィッシュヘッドカリー」です。南インド系移民が現地で考案した料理で、大きな魚(主にフエダイなど)の頭部を丸ごとスパイスカリーで豪快に煮込んでいます。SNS等では「見た目のインパクトが凄まじい」と驚きの声が上がる一方、魚の頬肉や目玉周辺のゼラチン質が非常にジューシーで、酸味と辛味が効いたルウとの相性が抜群だと熱烈なファンを惹きつけています。