高専側が描いていた青写真は、没収によって宿儺の不可視の斬撃(解・捌)や炎の術式を封じ、弱体化させた上で処刑人の剣を叩き込むという完全勝利の方程式でした。しかし、現実の法体系と同様に、術式効果にも残酷な「解釈の穴」が存在していました。
領域が解除された直後、宿儺が放ったのは弱体化しているはずの斬撃でした。ジャッジマンが没収の対象としたのは、宿儺自身の生得術式ではなく、万(よろず)の命と引き換えに構築された電撃を帯びる呪具「神武解(かむとけ)」だったという事実が判明します。
日車自身も把握していなかったこの仕様は、「術師が呪具を携帯している場合、術式よりも呪具の没収が優先される」という法廷ルールの構造的欠陥によるものでした。宿儺は万の遺品である呪具を事実上の「避雷針」として機能させ、自身の切り札である術式を完全に守り切った形となります。