マグロ漁師の年収は1000万超えか?過酷な歩合制と赤字リスクの真相

マグロ漁師の年収は1000万超えか?過酷な歩合制と赤字リスクの真相

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インターネットの掲示板やSNSでは、マグロ漁船に関して長年囁かれてきた都市伝説がある。「借金まみれの人間が最後に送り込まれるタコ部屋」「船長に逆らえば海に落とされる」といった昭和のアウトロー神話だ。

しかし、現代のコンプライアンス基準において、そうした暴力的な強制労働や違法な借金カタの乗船は完全に一掃されている。全国漁業就業者確保育成センターや各水産会社は労働環境の健全化に躍起になっており、現代の遠洋マグロ漁業の実態は「高度に機械化された洋上プラント」に近い。

それにもかかわらず、なぜマグロ漁船の求人は常に人手不足なのか。ネットの噂が暴くべき本当の闇は、暴力ではなく「圧倒的な隔絶と過酷な労働環境」にある。

遠洋漁船の場合、一度出港すればケープタウンやラスパルマスといった海外補給基地を経由しながら、300日以上を海の上で過ごす。近年はスターリンク等の衛星通信導入により洋上Wi-Fiが普及しつつあるが、通信環境は陸上ほど盤石ではない。荒れ狂う暴風雨の中、船体が40度以上傾く激しい動揺に耐えながら、1日十数時間にわたる投縄・揚縄作業が続く。

釣り上げられたマグロは即座に内臓を処理され、氷点下60度の超低温冷凍庫へ運び込まれる。極限の寒気と猛烈な肉体労働が重なり、新人の多くが最初の航海で「どれだけ金がもらえても二度と乗りたくない」と音を上げて港を去っていく。離職率の高さの本質は、暴力ではなく人間の生物学的な限界にあるのだ。

小林 直樹
著者

小林 直樹

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。