かつて街中が映画の熱気に包まれていた時代、高崎オリオン座は高崎中央銀座商店街の中核施設として連日多くの観客で賑わっていました。しかし、2003年に迎えた閉館の背景には、単一劇場の経営努力だけでは抗えない地方都市の興行構造と消費行動の激変が存在していました。
最大の転換点となったのは、1990年代末から2000年代初頭にかけて地方都市を席巻した「郊外型シネマコンプレックス(シネコン)」の台頭です。群馬県内でもモータリゼーションの進展に伴い、広大な無料駐車場を備えた大型ショッピングモール併設型の劇場が次々と開業しました。2001年には高崎駅周辺の商業再編が進み、単館系劇場の観客動員数は目に見えて減少していきました。
さらに、高崎市連雀町や中央銀座通り周辺の商店街が直面していた中心市街地の空洞化も追い打ちをかけました。映画鑑賞後に商店街で買い物をし、飲食店へ立ち寄るという昭和期に完成していた回遊パターンが急速に崩壊。施設の老朽化や映写設備の更新コストが重くのしかかり、2003年、多くの映画ファンに惜しまれながらその輝かしい営業史に終止符を打つことになったのです。