こだまを象徴する最大の特徴が、首を左右に小刻みに振って鳴らす「カタカタカタ……」という乾いた音です。この独特な音には、劇中で複数の意味合いが込められています。
一つはこだま同士のコミュニケーションや感情表現です。アシタカたち人間への興味や警戒、あるいはシシ神の出現に対する畏敬の念を表す際に、森全体に響き渡るように一斉に首を鳴らします。個々の小さな音が連鎖して大合唱となる演出は、個々の木々が繋がって一つの巨大な森を形成していることを視覚・聴覚的に表現しています。
一方で、一部の視聴者が「不気味」「怖い」と感じる理由もここにあります。左右非対称の目と口の黒い空洞、感情の読めない無機質な表情、そして骨が擦れ合うような機械的とも言える首の動きは、可愛らしさと同時に「人知の及ばない異界の存在」特有の畏怖を抱かせます。
なお、この特徴的な鳴き声は声優が声で演じているのではなく、木製の打楽器やカスタネットのような音響小道具を用いた効果音によって生み出されています。あえて人の声を排して物質的な木の音を響かせることで、樹木の精霊たるリアリティを極限まで高めています。