バストの形状を語る上で避けて通れないのが、乳腺組織と大胸筋の筋膜、そして皮膚とを繋ぎ止めている「クーパー靭帯」の存在です。コラーゲン繊維とエラスチンが網目状に張り巡らされたこの結合組織こそが、バストの丸みと高さを重力から守る唯一の命綱と言えます。
ここで知っておくべき非情な人体の真実があります。クーパー靭帯の伸びと修復に関して、一度過度な牽引力がかかって伸びきった、あるいは断裂した繊維は、現在の生化学・再生医療のレベルでも自力で縮んだり再生したりすることはありません。輪ゴムを限界まで引き伸ばしたまま放置すると弾性を失ってダルダルになるのと同様、不可逆的な変化を遂げてしまいます。
クーパー靭帯が切れる原因は、激しいスポーツ時の強い衝撃だけではありません。日常生活における些細な動作――階段の昇り降り、早足での歩行、さらにはブラジャーを装着せずに前屈みで掃除機をかけるといった日常の重力変化の蓄積によって、微細な損傷が徐々に進行していきます。さらに、加齢に伴いコラーゲン生成量が減少すると靭帯の柔軟性自体が低下するため、ノーブラで胸が垂れる理由は「重力×揺れの放置×結合組織の老化」の掛け算によって加速していくのです。