欧州におけるこの独自のライフスタイルを理解する上で欠かせないのが、「ナチュリズム(Naturism)」およびドイツ発祥の「FKK(Freikörperkultur:自由身体文化)」の歴史的背景です。
19世紀末から20世紀初頭にかけて、急速な産業革命と都市化が進んだヨーロッパでは、工場からの煤煙や過密労働による結核などの感染症が深刻な社会問題となっていました。これに対し、医師や思想家たちが提唱したのが「太陽光と新鮮な空気を全身で浴びて健康を取り戻す」自然回帰運動でした。これがナチュリズムの端緒です。
さらにドイツで生まれたFKK運動は、単なる健康法にとどまらず、「衣服が作り出す身分・階級の格差を脱ぎ捨てる平等主義」としての側面を帯びて発展しました。第二次世界大戦後、国際ナチュリスト連盟(INF-FKK)が設立され、現在ではクロアチアのアドリア海沿岸、ドイツの湖水地方、フランスの地中海および大西洋沿岸などに数百箇所の公認リゾートやキャンプ場が整備されています。
国際規約においてナチュリズムは「自然と調和して生きる方法であり、自己尊重、他者尊重、環境尊重を特徴とするもの」と定義されており、性的なアピールや公序良俗に反する行為とは明確に一線を画したライフスタイルとして社会的に認知されています。