「課題図書だから」「有名文学賞の受賞作だから」という理由で本を選び、いざ書き始めて数行で手が止まってしまうケースは後を絶ちません。読書教育に携わる専門指導員や元国語科教員の証言によると、感想文が書けない最大の理由は「本の内容を理解できないこと」ではなく、「主人公の境遇や感情に対して、自分自身の日常の喜怒哀楽を投影できないこと」にあります。
読書感想文の評価軸は、あらすじの正確なまとめではありません。「その本を読んだことで、自分のものの見方や行動がどう変わったか」という内面の変化です。したがって、主人公と自分の距離が遠すぎる歴史大作や抽象的な哲学小説を選ぶと、書くべき「自分のエピソード」が見つからず、あらすじの引き伸ばしに終始して原稿用紙が埋まらなくなります。
逆に、読書が苦手でも驚くほど筆が進む本には、「日常の葛藤(部活動・友人関係・家族との摩擦)が具体的である」「主人公が選択を迫られるシーンが明確である」という共通項が存在します。本の中で描かれる葛藤と、書き手自身の体験がリンクした瞬間、感想文は誰でも一気に書き進められるようになります。