ニック・ワイルドというキャラクターがこれほどまでに愛される理由は、その完璧すぎない「隙」と秘められた過去にある。表向きは世慣れた詐欺師として振る舞いながらも、幼少期に受けたトラウマから「傷つくくらいなら最初から期待しない」という処世術を身につけた彼の生い立ちは、観客の深い共感を呼ぶ。一見すると軽薄に見える仕草や軽妙な語り口の裏に、繊細な心が隠されているのだ。
制作スタッフが明かした裏設定によれば、ニックの表情や立ち振る舞いには、彼を演じたジェイソン・ベイトマン本人の癖や表情の変化が緻密に反映されているという。さらに日本語吹替版においても、森川智之がニックの感情の微細な揺れを吐息混じりの台詞回しで表現しており、こうした細部へのこだわりがキャラクターに圧倒的な生命力を与えている。