顧客層の幅広さも特筆すべき点だ。平日のランチタイムには、往年の味を慈しむ長年のシニアファンが静かにワイングラスを傾ける。一方で週末になると、SNSで噂を聞きつけたミレニアル世代やZ世代、さらにはインバウンドの旅行者たちで熱気に満ちあふれる。
世代や国境を超えて人々が引き寄せられる理由は明快だ。真の贅沢とは豪勢なキャビアやフォアグラを並べることではなく、作り手の情熱が宿った一皿を心地よい空間で味わうことだと、誰もが直感的に理解しているからだ。バブル期の狂騒とも、近年のミニマリズムとも異なる「居心地の良い豊かさ」がここにはある。