一歩館内に足を踏み入れると、そこには現代の建築では再現不可能とされる圧倒的な木造空間が広がる。1939年の東京オリンピック開催を見据え、日本政府の要請によって建設されたこの建物は、秋田県内から集められた80名もの名工(宮大工)の手によって組み上げられた。
特に圧巻なのは、吹抜けが印象的なメインロビーだ。吉野杉や秋田杉をはじめ、日本全国から厳選された巨木や銘木が贅沢に使用されており、天然の曲がり木を活かした柱や天井の意匠には、当時の職人たちが注ぎ込んだ凄まじい情熱とプライドが宿る。2003年には国の登録有形文化財にも指定されたこの空間は、ただ静かに佇んでいるだけで歴史の重みと木の温もりを肌で感じさせてくれる。