水酸化ナトリウムの価数で迷わない!中和滴定を制する強塩基の真実

水酸化ナトリウムの価数で迷わない!中和滴定を制する強塩基の真実

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塩基の価数を語るうえで避けて通れないのが、19世紀末から20世紀初頭にかけて起きた酸・塩基理論のパラダイムシフトだ。スウェーデンの化学者スヴァンテ・アレニウスは、水溶液中で電離して水酸化物イオンを放出する物質を塩基と定義した。この枠組みにおいて、水酸化ナトリウムは教科書どおりの完全な1価の塩基として君臨する。

ところが、デンマークのヨハネス・ブレンステッドらが提唱したプロトン($\text{H}^+$)授受の概念へと視野を広げると、光景は一変する。ブレンステッドの定義において、相手からプロトンを1つ奪い取る主役は、水酸化ナトリウム全体というよりも、電離によって完全に解き放たれた水酸化物イオンそのものだ。

科学史を振り返れば、理論の深化こそが塩基の価数という概念を抽象化し、普遍的な道具へと昇華させた。理論化学の土台を理解している受験生は、多価の酸である硫酸やシュウ酸、あるいはリン酸と水酸化ナトリウムが反応する際も、価数を機械的な記号としてではなく、分子間でのプロトンの受け渡し比率として立体的に把握できる。

山本 拓海
著者

山本 拓海

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。