ハーバード医科大学のデビッド・シンクレア教授が唱えるエピジェネティクスに基づく老化研究は、世界の抗加齢医学界に大きな衝撃を与えた。彼の長寿理論においても、単一の食材に依存する食事法は推奨されていない。むしろ、長寿遺伝子(サーチュイン)を活性化させるためには、適度なカロリー制限や植物性化合物の摂取、そして多様なタンパク質源の分散が欠かせないとされている。
かつてNHKスペシャル「人体」シリーズでも特集されたように、臓器同士は網の目のようにメッセージ物質を交わし合っている。特定の栄養素や重金属が過剰になると、この精密な細胞間ネットワークが乱れ、若返りシグナルの伝達が停滞する。長寿の鍵は「魚を食べるか否か」という極論ではなく、細胞全体の環境を最適に保つためのバランスなのだ。