原泰久が描く熱い戦国群雄劇『キングダム』ではドラマチックな戦死を遂げた王騎だが、中国の古代史書『史記』における史実の記述はかなり異なる。史実における「王齮(おうき)」は、趙国の馬陽を攻略した数年後に病死した、あるいは別の武将である「王齮」と「王齕(おうこつ)」が同一人物として混同されていたなど、歴史家の間でも諸説が存在する。
作中のように趙の総大将との一騎打ちで悲劇的な討ち死にを遂げたという明確な記録はなく、漫画ならではの見事な脚色とドラマ性が盛り込まれている。史実の行間を巧みに埋め、歴史アクションとしてのカタルシスを極限まで高めた原泰久のストーリーテリングの手腕には脱帽するしかない。