サイバー犯罪者が個人ブログや無名サイトではなく、わざわざ大手不動産サイトを標的に選ぶのには明確な動機があります。knightfrank改ざんの理由の根底にあるのは、同社が長年かけて培ってきた「Googleからの圧倒的な信頼度(ドメインオーソリティ)」の強奪です。
新規に立ち上げた怪しいギャンブルサイトが検索上位を獲得するのは困難ですが、何十年も運用されている世界的企業のドメイン配下にページを潜り込ませれば、検索エンジンのアルゴリズムを欺いて瞬時に上位表示させることが可能になります。これがSEOスパム寄生サイトの仕組みです。手口としては、更新が放置されていたプラグインの脆弱性から侵入し、正規サイトの管理者からは見えにくい深いディレクトリ階層にスクリプトを仕込む手法が一般的です。
さらに今回の海外不動産サイト不正アクセスの経緯を辿ると、特定のIP帯から大量の自動化ボットによるブルートフォース攻撃やAPIの不備を突く試行が確認されています。これにより、ドメインそのものを乗っ取ることなく、下層ページだけを自由に生成する「サブディレクトリ乗っ取り」が行われました。このようなドメイン乗っ取りスパムの危険性は、正規ブランドの社会的信用を一瞬で失墜させる破壊力を秘めています。