「手取りが減るから社会保険には入りたくない」という声が、かつてパート・アルバイトの現場で支配的でした。いわゆる「年収の壁(106万円・130万円の壁)」を意識した就労調整です。しかし、段階的に進められてきたパートの社会保険適用拡大と厚生年金の波は、2026年の労働市場において大きな意識改革を促しています。
大企業から始まった短時間労働者の厚生年金適用は、企業規模要件が従業員50人超からさらに中小規模へと引き下げられ、週20時間以上勤務、月収8万8,000円以上といった要件を満たせば、パートタイマーであっても厚生年金への加入が実質的に義務化されています。
SNSや大手Q&Aコミュニティ、知恵袋などに投稿される現場のリアルな叫びを検証すると、加入直後の心情と数年後の評価には顕著なギャップが見られます。
「月収11万円のパート先で厚生年金に加入させられ、毎月約1万5,000円が天引きされたときは『生活が苦しくなる』と怒りを覚えた」という主婦の投稿は珍しくありません。しかし、その一方で「乳がんを患った際、厚生年金に加入していたおかげで健康保険から傷病手当金が通算1年6カ月支給され、生活が破綻せずに済んだ」「ねんきん定期便を確認して、将来もらえる年金額が夫の扶養時代より月3万円も増えているのを見て安心した」といった実体験に基づく安堵の声も多数寄せられています。
手取りの減少という目先のマイナス面だけに囚われず、将来のキャッシュフロー向上と医療・障害時の保険機能をトータルで再評価する動きが、働く現場で着実に定着しています。