手取りに対する不満が噴出しがちな年収800万円ですが、日本全体の労働市場においてどの程度の立ち位置にいるのでしょうか。国税庁が公表している「民間給与実態統計調査」の最新傾向を精査すると、客観的な事実が浮き彫りになります。
日本国内の給与所得者全体において、年収800万円超〜900万円以下の層が占める割合はわずか約3.0%〜3.2%です。年収800万円以上の全階層を合算しても上位およそ9.9%に過ぎません。男女別で見るとさらに偏りは顕著で、男性給与所得者では上位約15%、女性給与所得者に限れば上位約3〜4%しか到達できない狭き門です。10人に1人しか存在しない明確な上位層であることは、統計上揺るぎない事実といえます。
では、実際にどのような職業や業界であれば年収800万円に到達できるのか。厚生労働省の賃金構造基本統計調査や上場企業の有価証券報告書のデータから、主な業界と職種を分類しました。
- 総合商社・大手専門商社:20代後半から30代前半で年収800万円を突破するケースが一般的。海外駐在などが加わるとさらに跳ね上がる傾向。
- 金融・保険(メガバンク・政府系金融・大手生損保):30代中盤の調査役・課長代理クラスへの昇格に伴い年収800万〜1,000万円の大台に到達。
- 大手メーカー(自動車・電機・化学・医薬品):40歳前後の管理職(課長・主幹級)への登用が条件となるケースが多く、MRなどの営業職ではインセンティブにより30代での到達も目立つ。
- IT・コンサルティング・通信大手:外資系ITや大手SIer、総合系コンサルティングファームでは、20代後半〜30代のマネージャー・シニアアソシエイト級で標準的に到達。
- 専門職・公務員(国家公務員・地方上級):医師や弁護士、公認会計士といった士業はもちろん、公務員であっても本府省の課長補佐〜本省課長クラス、あるいは地方自治体の50代管理職で到達可能。
このように、年収800万円を達成している層の多くは、激しい就職競争を勝ち抜いた大手企業の正社員や専門資格保持者、あるいは長年勤続して責任あるマネジメント職に就いたベテラン層で構成されています。