整髪料をつけない状態、いわゆるメンズショート ノーセットで好印象を獲得するためには、スタイリング剤に頼らない設計図が頭髪全体に組み込まれていなければなりません。髪のプロフェッショナルが口を揃える「ノーセットが成立する三大条件」は以下の通りです。
第1に、骨格補正を前提としたフォルムコントロールです。日本人の頭骨は後頭部が平らな「絶壁」や、側頭部が横に張り出す「ハチ張り」が多く見られます。ワックスがある場合は毛束を立ち上げてボリューム感を捏造できますが、ノーセットではそれが通用しません。後頭部の一番高い位置(ゴールデンポイント)に自然な丸みが残るようレイヤーを重ね、サイドの膨らみやすい部分を適度に削ることで、乾かしただけで綺麗なひし形シルエットが自動的に浮き上がります。
第2に、毛量調整(セニング)の入れ方です。単に梳きバサミで根元から毛量を減らすと、短い毛が毛羽立ち、パサつきや広がりを誘発します。セットをしない髪型ほど、中間の重さだけを間引き、表面と毛先には適度な重みとラインを残す繊細なスライドカットが求められます。これにより、自然乾燥や簡単なブローだけでも毛流れが一定方向に収まるようになります。
第3に、生えグセと毛流れの方向付けです。つむじの渦の向き、前髪の浮き癖、襟足の浮き沈みを計算に入れずカットすると、起きた瞬間にコントロール不能な乱れが生じます。生えグセの強いエリアをタイトに切り詰めるか、あえてクセの流れる方向に長さを残すことで、自重と毛流だけで収まりがつく土台が完成します。