ネット上では「しっかり愛情を注げば大型犬と変わらない」「都市部のマンションでも飼える」といった楽観的な言説が散見されます。しかし、動物行動学の知見と数々の飼育現場の調査結果が導き出す答えは明快です。一般的な日本の居住環境において、ウルフドッグを通常のペット感覚で飼育することはほぼ不可能であり、極めて無謀な試みと言わざるを得ません。
ウルフドッグは、野生のハイイロオオカミとシベリアンハスキー、アラスカンマラミュート、ジャーマンシェパードなどを交配させて作出されたハイブリッドです。交配におけるオオカミの血統割合は「ウルフパーセンテージ(血量)」と呼ばれ、大きく以下の3階層に分類されます。
オオカミ血量が30%未満の「ローコンテンツ」、30〜74%前後の「ミッドコンテンツ」、そして75%を超える「ハイコンテンツ」です。血量が上がるほど、容姿だけでなく行動パターンや脳神経の反応もオオカミそのものに近づきます。一般的な愛玩犬に備わっている「人間に褒められたい」「他人に友好的に接したい」という生得的な気質は薄れ、極度の警戒心や捕食行動が前面に押し出されます。
専門の訓練施設を持たない一般的な住居では、運動不足によるパニックや破壊行動、脱走のリスクを完全に封じ込めることは極めて困難です。この現実を直視しないまま迎えた結果、飼育崩壊や手放しに至るケースが後を絶たないのが実態です。