作者である尾田栄一郎は、これまでも多様な生き方を選ぶキャラクターたちを作中で描いてきた。しかし、ヤマトという存在は既存の枠組みに囚われない異彩を放っている。カイドウという圧倒的な支配者の実子でありながら、その支配を拒絶し、敵であった光月おでんの日誌を心の支えにして生きてきた過去。ヤマトにとって「男であること」は、単なる性別の問題ではなく、自由と正義を象徴する「おでんという生き様そのもの」を継承することを意味している。
少年漫画の金字塔である『ONE PIECE』において、こうしたキャラクターの心理的根底を風呂場という日常的な空間で鮮やかに浮き彫りにした手法は極めて先進的だ。尾田栄一郎の描くキャラクター造形は、外見上の性別を超えた「魂の選択」を読者に問いかけている。