「ボーナスをもらってから辞めるのは気が引ける」と遠慮する人がいますが、これは労働者が正当に受け取るべき権利を放棄する行為に等しいと言えます。賞与は過去数ヶ月間の労働実績に対する後払い的性格を持つため、満額受け取ってから退職することに法的な後ろめたさを感じる必要は一切ありません。
問題は退職を切り出す時期です。就業規則には「賞与支給日に在籍していること」を支給要件とする規程が一般的ですが、支給日の前に退職の意向を伝えてしまうと、会社側が「将来への期待値」を理由に査定を大幅に引き下げる合法的リスクが生じます。取材した大手メーカーの人事担当者も「支給前の退職申し出は、裁量権の範囲内で査定ランクを最低限まで下げるのが通例」と明かしています。
確実に満額を獲得し、かつ円満に去るための最適解は、ボーナス支給後の退職を徹底することです。具体的には「賞与が指定口座に着金したことを確認した1〜2週間後」に退職届を提出するスケジュールが最も安全です。さらに、そこから有給消化と最終出社日を逆算して設定します。たとえば有給残日数が20日ある場合、最終出社日を申し出から約1ヶ月後に置き、残りの1ヶ月を有給消化期間に充てて社会保険料の負担を最適化しながら次の準備を進めるのが定石です。