冷酷無比な殺人鬼として描かれる獅子神皓ですが、彼が深い愛情を注いでいた対象はごくわずかに存在していました。それが実の母親、幼馴染の親友である安堂直行、そして彼を匿ったクラスメイトの渡辺しおんです。
獅子神皓が完全に人間性を放棄し、日本全土を標的にした無差別大量殺戮へと舵を切った最大の引き金は、母親の自殺でした。末期癌だった母親の病気を自らの能力で完治させ、親孝行を果たそうとした矢先、警察の捜査とネットの特定班によって居場所が暴かれます。マスコミの過熱報道とネット民による誹謗中傷に追い詰められた母親は自ら命を絶ち、これが獅子神の心にあった最後のストッパーを破壊しました。
一方、唯一の親友であった安堂直行は、獅子神の凶行をいち早く察知して拒絶し、犬屋敷壱郎の協力者となる道を選びます。さらに、指名手配犯となった獅子神を匿い、その心の拠り所となった渡辺しおんとその祖母の存在によって、一時は「人助け」に目覚めかけたものの、突入してきた特殊部隊の銃撃によって彼女たちまでもが巻き込まれ、獅子神は決定的な絶望へと叩き落とされました。