美髪ブームの進展に伴い、サロンのメニュー表には「酸性ストレート」や「髪質改善トリートメント(酸熱トリートメント)」が並び、顧客の混乱を深めています。これらと従来のアルカリ縮毛矯正との違いを整理することは、髪の寿命を守る上で極めて重要です。
従来の縮毛矯正は、pH8〜10前後のアルカリ領域で毛髪のキューティクルを強制的に開き、内部深くまで薬剤を浸透させます。この方法は強いくせを確実に伸ばせる反面、キューティクルの損傷や髪の硬化を招きやすいデメリットがありました。
これに対し、近年のトレンドである「酸性ストレート」は、毛髪の等電点(本来の健康な状態であるpH4.5〜5.5の弱酸性領域)に近い環境で作用する還元剤(GMTやスピエラなど)を用います。キューティクルを無理に膨潤させずに浸透するため、ブリーチ履歴のあるハイトーン毛や、加齢により細くなったエイジング毛に対しても、柔らかく地毛のような自然なストレートを実現できます。ただし、酸性ストレートもアイロン熱処理を伴う縮毛矯正の一種であり、決して「ダメージゼロ」ではない点には注意が必要です。
一方、「髪質改善トリートメント」は還元剤によるS-S結合の切断を行いません。グリオキシル酸やレブリン酸といった酸性成分を毛髪内部に補給し、熱を加えることでアミノ基と強固な架橋結合(イミン結合)を形成する技術です。くせ毛のうねりそのものを伸ばす矯正力はありませんが、髪内部の空洞を埋めてハリ・コシとツヤを与え、軽微なパサつきを抑える効果を発揮します。