会場の最前列で息を凝らしながら靴と対峙する新入社員たちの表情には、一切の妥協がない。額に滲む汗を拭うことも忘れ、親指の腹で丹念にワックスを塗り広げていく姿は、まるで長年工房に籠もる熟練職人のようだ。
「靴を磨くことは、相手への敬意を磨くことでもある」。そう語る新入社員の手元では、くすんでいたカーフレザーが瞬く間に鏡のような光沢を放ち始めていた。この儀式は、社内で展開されるコロンブス新卒採用プロジェクトの集大成とも言える。就職活動という荒波を乗り越え、この場所を選んだ若者たちが最初に行う実務。それは自社の製品を深く理解し、顧客と同じ視点で道具を愛することに他ならない。テレビカメラが回る中、レンズの先にある世間の視線すら遮断するほどの集中力に、現場の空気は完全に圧倒されていた。