なぜ、若者たちは他のキャラクターではなくキティを選ぶのか。
心理学的な側面も見逃せない。ハローキティには「口がない」ことで知られる。口を描かないことで、見る人の感情を投影する鏡になるというサンリオの有名なデザイン哲学だ。悲しい時には悲しそうに見え、嬉しい時には一緒に笑っているように見える。
この「感情の空白」が、SNSにおける最高のアイコン表現として機能している。自撮り写真を載せるのは恥ずかしいが、無機質な初期設定アイコンにはしたくない。毒気のない可愛らしさを出しつつ、自分の感情を間接的に表現したい。そうした現代人の複雑な自己意識に、キティの表情が恐ろしいほどフィットするのだ。