国家事業としての成功を至上命令とされた日本万国博覧会協会は、警備体制や輸送インフラ、過熱するメディア報道への対応に忙殺されていた。その巨大な権力機構の裏で、当時の映像作家たちが挑んだのが『日本万国博覧会 公式記録映画』の撮影であった。
単なる広報ビデオにとどまらず、時代の空気そのものをフィルムに焼き付けようとした制作陣の目線には、華やかなパビリオンの影で汗を流す名もなき労働者や、混沌とした群衆の姿が克明に捉えられている。行政のプロパガンダと芸術的リアリズムが交錯した記録映像は、半世紀を経た今もなお、当時の矛盾と情熱を鮮烈に伝え続けている。