もう一つの非常にエレガントな証明法が、「2変数 → 4変数 → 3変数」へと還元するコーシーの逆向き帰納法の発想です。誘導付きの入試問題で頻出の論法となっています。
ステップ1として、2変数の相加相乗平均を2回連続で適用し、4変数の不等式を証明します。
$a, b, c, d > 0$ のとき、
$$\frac{a+b+c+d}{4} = \frac{\frac{a+b}{2} + \frac{c+d}{2}}{2} \geqq \sqrt{\frac{a+b}{2} \cdot \frac{c+d}{2}} \geqq \sqrt{\sqrt{ab} \cdot \sqrt{cd}} = \sqrt[4]{abcd}$$
ステップ2として、この4変数の不等式の $d$ に「3変数の相加平均」である $d = \frac{a+b+c}{3}$ を代入します。すると左辺は、
$$\frac{a+b+c+\frac{a+b+c}{3}}{4} = \frac{\frac{4(a+b+c)}{3}}{4} = \frac{a+b+c}{3}$$
となります。一方、右辺は次のようになります。
$$\sqrt[4]{abc \cdot \left(\frac{a+b+c}{3}\right)}$$
両辺を比較して不等式を立てると、
$$\frac{a+b+c}{3} \geqq \left( abc \cdot \frac{a+b+c}{3} \right)^{\frac{1}{4}}$$
両辺を4乗して整理します。
$$\left(\frac{a+b+c}{3}\right)^4 \geqq abc \cdot \left(\frac{a+b+c}{3}\right)$$
両辺を正の値である $\frac{a+b+c}{3}$ で割ると、
$$\left(\frac{a+b+c}{3}\right)^3 \geqq abc$$
両辺の正の3乗根をとることで、見事に3変数の相加相乗平均が導かれます。
$$\frac{a+b+c}{3} \geqq \sqrt[3]{abc}$$
変数をあえて1つ増やしてから平均値を代入して消去するこの技法は、初見では思いつきにくいため、国立2次試験対策として一度は自力で手を動かして再現しておく価値があります。