酒津屋を語る上で絶対に外せない名物が、注文率8割を超える看板メニュー「エビカツ」です。名古屋名物といえばエビフライが全国的に有名ですが、酒津屋のエビカツは一般的なそれとは一線を画すオリジナリティを誇ります。
薄い衣の中に潜んでいるのは、すり身でカサ増しされた加工品ではなく、粗めに叩かれた大ぶりのエビがぎっしりと凝縮された塊です。高温の油で短時間でサクッと揚げられた衣に歯を立てると、パツンと弾けるような力強い弾力と、エビ本来の上品な甘みと磯の香りが口いっぱいに広がります。皿に添えられた自家製タルタルソースを絡めればコクが増し、卓上のウスターソースや和からしを合わせれば一気にハイボールが進むキレ味鋭い肴へと表情を変えます。
もちろん、エビカツ以外のメニュー展開も秀逸です。鮮度抜群の「マグロ刺身(切り落とし)」は、大衆酒場とは思えない上質な脂と赤身の旨味が凝縮されており、午前中から飛ぶように注文が入る逸品。また、愛知県民のソウルフードである八丁味噌仕立ての「どて煮」や「牛すじ煮込み」は、じっくり煮込まれてトロトロになった肉の甘辛さが白米にも日本酒にも完璧に寄り添います。
お酒を飲まない層から絶大な支持を集めているのが、充実した定食メニューです。エビカツ定食をはじめ、味噌カツ定食、刺身定食などが揃い、炊きたてのご飯と出汁の効いた赤だし味噌汁がセットで手頃に楽しめます。昼夜を問わず「しっかり食事だけを済ませたい」というニーズにも完璧に応えてくれる柔軟性こそ、地元民が足繁く通い詰める原動力です。