カイノミは、牛の腹側のあばら骨周辺にあたる「中バラ(トモバラの一部)」に含まれる部位です。最大の特徴は、最高級赤身肉の代表格である「ヒレ(フィレ)」に最も近い場所に位置している点にあります。
切り出したときの形状が「二枚貝の貝殻」に似ていることから、職人の間では古くから「貝の身」と呼ばれ、それが転じて「カイノミ」という名称が定着しました。
食肉流通のデータによれば、成牛1頭(生体重量約600〜800kg、枝肉重量約400〜500kg)から得られるカイノミは、左右一対を合わせてもわずか約4kg〜6kg程度。枝肉全体の1%前後しか存在しないため、紛れもない「牛肉の希少部位」として位置づけられています。精肉加工の現場では、バラ肉の脂を丁寧にトリミングしながらヒレとの境界から慎重に切り離す高度な技術が求められます。