爪の根元に生じる黒い変色の原因は、大別して「外傷による内出血」「メラニン色素の沈着(ほくろ・加齢)」「悪性腫瘍(メラノーマ)」の3パターンに分類されます。読者が最も懸念する悪性黒色腫との決定的な鑑別ポイントは、「変色部分が爪の成長とともに移動するか」および「甘皮(爪郭部)に色素が浸潤しているか」の2点です。
ドアに指を挟んだり、足に合わない靴で圧迫されたりして生じる「爪下血腫」の場合、爪甲の下に溜まった血液が酸化して黒褐色や紫黒色の斑点として現れます。爪は手の指で1か月に約3ミリ、足の指で1か月に約1.5ミリのペースで伸びるため、黒い部分が時間の経過とともに爪先方向へ押し出されていれば、内出血による自然治癒のプロセスにあると判断できます。
一方で、爪の付け根にある爪母(爪を作る組織)にとどまり続け、根元から爪先に向かって黒い縦線が引かれたように伸びている状態は、メラニン色素を作る細胞が関与しています。これが良性の母斑(ほくろ)であれば過度な心配はいりませんが、線の幅が3ミリ以上に拡大したり、濃淡が不均一になったり、甘皮に黒い色素がにじみ出る「ハッチンソン徴候」が見られる場合は、皮膚がんの一種である爪悪性黒色腫の初期症状を強く疑う必要があります。