今年の夏は、これまでとは明らかに違っていた。梅雨明けと同時に始まった容赦のない直射日光は、果樹園の温度を瞬く間に押し上げた。梨は本来、適度な寒暖差と豊かな水によって甘みを蓄える果物だ。しかし、夜間になっても気温が下がらない熱帯夜が続いたことで、木々は呼吸過多に陥り、果実に十分な栄養を行き渡らせることができなくなったのだ。
「これまで30年以上やってきたが、こんなことは初めてだ」と語るのは、千葉県で梨園を営む佐藤氏(仮名)だ。彼の農園では、収穫間近の梨が枝についたまま次々と発酵し、酸っぱい臭いを漂わせているという。気候変動はもたらされた未来の脅威ではなく、今ここにある生活の破壊者だ。